パラレルワールドの出口を探す旅は、
まだ続いているのだけれど、、
今はただ、一緒にいるこの瞬間だけが、
確かな居場所。
「帰り道、どこだろう。ねえ、ここはどこ?」
「大丈夫、今見つけるから。少し待ってて。」
冷たい大理石の壁に背を預ける。
硬い床の感触が少しだけ安心感をくれる。
「ほら、こっちの角を曲がればきっと…」
「違うよ、そこは行き止まりだって。」
人の流れは目の前を絶えず流れているけど、
私たちの小さな世界には、誰も触れない。
「ねえ、まだ見つからない?」
「もう少し、あと少しだから。」
デパートのアナウンスも、人々の笑い声も、
私たちにはただのノイズだ。
「見つけたかも!」
「ほんと?どこ?」
パラレルワールドの出口への
光の道筋を指でたどる。
