赤いキャビンの自動車と赤いサンダルの女性
強い日差しの中、セーフティーフェンスに
寄りかかる赤いサンダルの彼女。
スマホの光に目を奪われ、指先が踊る。
友達とのメールか、ショッピングの愉しみか、
誰かを待つ気配はなく、ただ時間が流れている。
ふと風が吹き抜け、
彼女の髪が揺れた瞬間、
赤いキャビンの自動車がサッと通り過ぎた。
都会の喧騒に紛れるその音は、
まるでショパンの一節のように儚く美しい。
そして、彼女はスマホに戻り、
再びその世界に没頭する。
特に目印もないこの場所で
彼女の姿は都会の一部となり、
彼女の存在は、この瞬間だけみえる蜃気楼。