帰り道の詩
今日も部活の汗をバッグに詰めて、
ヘルメットはぶらさげたまま。
先生に叱られるかもだけど、
このスピード感だけは手放せない。
誰にも追いつかれたくない、私の帰り道。
、
ふと、見上げたお寺の二階の窓と目が合った気がした。
あの天の雲の様な不思議な形、
いつもそこにあるのに、今日だけ特別に思えた。
まるで、空にいる誰かが
私のペースを肯定してくれてるようで。
道端のストップポールも、
いつもなら無視して通り過ぎるのに、
今日は小さく笑ってるように見えた。
「いい走りだったね」って。
別に誰かに見せるわけじゃない。
記録も、評価も、どうでもいい。
だけどこの身体が、
このいつもの裏道を覚えていてくれることが、
なんだか嬉しい。
たとえ卒業して、
自転車を降りる日が来ても、
私は??
「私は、今日のこの帰り道を覚えているわ。」