赤は、私の歩幅のリズム
雨の道玄坂は、まるでモノクロの世界。
黒いアスファルト、白い工事中の塀、
グレイの歩道、黒い街路樹のシルエット。
でもクレーン、ストップポール、
レストランのメニュー看板は
グレーの世界の中のただ一つの色、
それは赤色。

そう、
私も赤を選んだ。
赤い色の傘を選んだ。
それは目立つためでも、目を引くためでもなくて、
ただ私の中のテンポにいちばん近かったから。
顔を見せる必要はない。
名前を名乗る必要もない。
ただ、この雨の中を
リズムよく降りていけばいい。
私は歩く。
赤は、私の歩幅のリズム。
モノクロの坂を塗り替える一滴として、
私は歩く。
(どうやら反対側を行く人の中にも
私と同じような人がいる様な?)