電脳の集会
秋葉原の街角に、
夜の帳がゆっくりと降りてきたその一角に、
スマホの灯りを見つめる人たちが集まっている。
顔を上げることなく、指先を滑らせ、
何かを待ち、何かを探し求めるように。
誰もが一様に画面を見つめ、
ガードフェンスに寄りかかる者、
ビルの柱に背を預ける者、
通路の脇に立ち尽くす者。
まるで、見えない命令に心を捧げ、
次の一手を待つ駒のように。
どこかしら無機質な表情のまま、
ひたすらスマホをシッカリとホールドしている。
きっとその指示が届いたら、疑いもなく、
何かを始めるだろう、何かに従うだろう。
ここには、日本語も英語も混じり合い、
文化も国境も解け合っているようだ。
女性も、男性も、誰もがひとつの画面に集い、
現実と虚構の境目を曖昧に漂っている。
秋葉原の街角の秋の夜、
電脳の囁きが響き渡る。